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基礎知識

イスラム文明の黄金時代は、バグダードの知恵の館だけが生んだ奇跡ではありません。大学の初年次講義でも「黄金時代=知恵の館」という単線的な理解にたびたび出会いますが、実際には翻訳で外部の知を取り込み、研究で理論を鍛え、交易と移動を通じて各地へ伝えるネットワーク全体が支えた現象でした。

仏教

仏教は、紀元前6〜5世紀ごろに現在のネパール南部からインド北東部で始まり、いまでは世界で約3.2億〜5億超とも見積もられる大きな伝統です。ただ、その全体像は「お釈迦さまの教え」「日本のお寺の宗派」「難解な経典」が別々に見えて、初学者ほど輪郭をつかみにくいところがあります。

仏教

寺院を訪ねると、山門の扁額や本堂の掲示にある天台宗曹洞宗真言宗といった宗派名がまず目に入り、続いて読経の調子や安置される仏像の雰囲気にも、はっきりした違いがあることに気づきます。そうした違いは単なる寺ごとの個性ではなく、日本仏教がたどってきた歴史と教えの整理の仕方に結びついています。

仏教

禅はサンスクリット語のdhyāna(禅那)にさかのぼる、仏教の瞑想実践に根差した流れです。中国で禅宗として形を整え、日本では臨済宗曹洞宗黄檗宗へと展開しましたが、その違いは名前だけではなく、坐禅・公案・悟りの結び方にもはっきり表れています。

比較・コラム

寺院を訪ねると、掲示板には「念仏は感謝の称名」とあり、別の場では御朱印帳に「南無阿弥陀仏をとなえて極楽往生を願う」と記されていて、同じ念仏でも意味づけが違うことに気づかされます。浄土宗と浄土真宗の違いは、まさにこの一点に集約できます。

基礎知識

通夜から四十九日法要までのあいだ、僧侶が「中陰」や「追善供養」という言葉を静かに説明しても、参列する側には輪廻や六道、成仏が一つの地図として結びつかないことが少なくありません。そこで本記事では、輪廻(サンサーラ)を生死の反復、業(カルマ)をその行為のはたらきとして説明します。

基礎知識

ヒンドゥー教は、ひとりの創始者が始めた宗教でも、一冊の教典に教えが集約された宗教でもありません。単一の中央組織を持たず、インド亜大陸で長い時間をかけて形づくられた、多様な伝統の総称として捉えると輪郭が見えてきます。

ヒンドゥー教

ヒンドゥー教の神々は数が多く、最初はどこから見ればいいのか迷いますが、入口としてはトリムールティ、つまり創造のブラフマー、維持のヴィシュヌ、破壊と再生のシヴァという三つの働きで捉えると輪郭がつかめます。

基礎知識

大学の講義や公開講座で4身分がそのまま現実のインド社会なのですかダリットは最下位のカーストですかとよく聞かれますが、この二つの問いをほどくところから始めると、カーストの見取り図はぐっと正確になります。

ヒンドゥー教

象の頭に人の身体、片方だけ残る牙、足元のネズミ――ガネーシャは、ヒンドゥー教で障害を取り除き、新しい始まりや学問、商いを見守る神として親しまれ、ガナパティヴィナーヤカの名でも呼ばれます。

ヒンドゥー教

シヴァはしばしば「破壊神」と紹介されますが、その一語だけでは複層的な性格を伝えきれません。ヒンドゥー教は世界で約11億人の信者を持つと推定され(末尾の出典参照)、地域や宗派によってシヴァの理解や礼拝形態は多様です。

ヒンドゥー教

ヒンドゥー教で牛が神聖視される理由は、神話の一言では片づきません。母性や豊穣を託した象徴、アヒムサーと輪廻に支えられた倫理、そして乳・労働・燃料として暮らしを支えた生活経済という三つの層が、ヴェーダ期から中世、ことに4世紀のグプタ朝前後を節目に重なり合い、殺牛忌避と菜食を主流化させていった複合現象です。